幸福な結果を得るために
- わが仔の病気を治すのに一番大切なことは何ですか?
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それは、飼い主さんの「根性」や「情熱」です。
私が治せるかどうか、あるいは、治す技術を持っているかどうか以前の問題なのです。もしマックスくんの入院をためらい、10回の鍼治療を試しただけだったなら、飼い主さんとマックスくんが現在の幸福に至ることはなかったでしょう。
飼い主さんとして、わが仔をどうしても治したいか、そうでもないのか。
飼い主さんに「どうしても治したい!」という情熱があれば、私はいつでもそれに応えるつもりです。 - 養生(*1)のために何か家庭できることはありますか?
基本的にはありません。
なぜなら、予防のために本当に意味のあることは、ご家庭ではできないからです。
「本当に意味のあること」とは、すなわち、体質改善=鍼灸治療を指しますが、
ご家庭で鍼灸治療ができない以上、特に気をつけることはない、ということになってしまいます。*1:養生(ようじょう)とは腰痛持ちの方が体質に合った予防法を用いて、腰痛になりにくい体に作り変えるような事を指します。
- 飲ませていた漢方薬を余らせてしまいました。これは問題でしょうか?
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こういうケースに度々遭遇しますが、やはり問題です。
「余っています」というセリフは耳にするのですが、「飲ませすぎて足りなくなりました」というセリフはまだ1度しか聞いたことがありません。私自身も漢方薬を飲んでいましたが、朝に飲んだかあやふやなときは念のためにもう一回飲んでおこうとします。
もちろん、たくさん飲めと言っているわけではありませんが、飲み忘れには気を付けてください。
病気が治りにくい、あるいは悪化した等、そのツケを払わされるのは、あなた自身ではなく、愛するわが仔なのです。 - サプリメントは飲んでもよいですか?
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飲んではいけないとは言いませんが、飲まなくて良いと思います。
「サプリメント」=「体に良いもの」という考えを日本人は往々にして持っています。体に良いから与えた方がいい。
果たしてそうでしょうか。天然のもの、自然のもの、化学的でないものという意味では、サプリメントと漢方薬とは同じだと考えています。
漢方薬には、劇的な即効性があります。ただし、正しく処方された場合に限ります。個人的な見解ですが、効果が劇的なものほど、それが不向きなヒト・動物にとっては、かえって悪い作用をもたらします。
逆も真なり。それが合わないヒト・動物にとって悪い作用をもたらすくらいでないと、体に治療効果を与えることは難しいとも考えられます。「毒にも薬にもならない」という言葉がありますが、「毒」になれるくらいでないと「薬」にもなれない、そう解釈することもできるわけです。単純な例を挙げます。冷え症の人にショウガ湯を与えると、体が温まって良い効果を与えます。逆に、のぼせ感の強い方が必要以上に摂取すると、重大な問題が生じると予測されます。つまり、そのくらいショウガに効果があるということです。
素晴らしい効果を発揮するサプリメントも少なからず存在するとは考えていますが、上記のような意味で効果のあるサプリメントには、まだ数点しか出会えていません。人間は自身に対して効果のないものを漫然と続けたりはしないものですが、自分のわんちゃん・ねこちゃんには飲ませ続けてしまう傾向があります。例えば、「あなたの仔に、そのサプリメントは効いてますか?」と尋ねても、「よく分からない」といったお答えばかりです。動物のこととなると、効果の有無はサプリメント継続の指標にはならないのですね。飲ませ続けていた理由に「私の気分的問題 or 気休め」を挙げる方の多いことがそれを物語っています。
私は個人的に、無駄なことはやらない主義なので、サプリメントについては冒頭のような答えになるのです。
ただ、本当に治療効果のあるサプリメントの場合は話が違ってきます。先にも述べましたが、動物の体質によっては、かえって悪くしてしまうことさえあるのです。飼い主さん自身がよくよく考え、判断した上で与えてください。漢方薬は、その仔の体質が変化し、症状が良くなってくるのに合わせて変更する必要がありますが、本当に効果のあるサプリメントも、当初よく効いた場合にこそ、途中で変更する必要性のあることを知っておかなければなりません。継続投与中に新たな症状が現れたり病状が再発した場合、過去の成功体験にしがみついて同じサプリメントの量を増やしてみたところで、そんな「安直な作戦・思い」は、あなたの家族(ワンちゃん)の幸福にはつながらないのです。