院長より「ちょっと三言」

03あなたにとって「不親切な」獣医かもしれません。

飼い主さんが獣医を選ぶ基準の一つに「親切な先生」というのがあります。
では、親切な先生と言ったときの「親切」とは何でしょうか。

ガソリンスタンドへ行っても、ファーストフードのお店に行っても、
店員さんたちは皆、それはそれはとても親切にしてくれます。
獣医もサービス業である以上、親切であることは欠かせないので、私も十分「親切」にさせていただいております。

ただし、私の言う「親切」は、ある人からしてみれば親切かもしれませんが、別のある人からすれば不親切かもしれません。
「親切」という言葉には、常に「裏」が付いて回るのです。

仮に、血糖値が高くて糖尿病にかかる寸前の友人があなたにいたとします。
その友人から「おいしいケーキが食べたいなぁ」とせがまれたとき、ケーキのおいしいお店に誘ってあげることは、本当に「親切」と言えるでしょうか。

どこの世界にも言えることですが、獣医の世界を見渡してみても、この糖尿病一歩手前の友人と、一緒にケーキを食べに行ってあげる「親切な」方が、少なからず存在するのです。

ステロイドを飲ませ続けてさえいれば病気が治ると飼い主さんが思い込んでいるようであれば、ステロイドを与え続けてあげる。

手術をしさえすれば病気が治ると飼い主さんが思い込んでいるようであれば、手術以外の方法を考慮することなく飼い主さんの希望通りに手術を施してあげる。

親切なこと、この上ないではないでしょうか。

本ウェブサイトをご覧になる直前まで、あなたが思い浮かべていた理想の獣医師像を想像してみてください。

あなたが本当に望んでいたのは、やさしい口調で、あなたの気持ちをくすぐるような、口当たりのよい言葉を耳元で囁(ささや)いてくれる“いかにも親切そうな”獣医師ですか?

それとも、わんちゃんのことを第一に考え、たとえそれが厳しいものであったとしても、わんちゃんにとっての最良となる言葉をあなたにぶつけてくる“一見イジワルそうな”獣医師ですか?

もし、あなたが前者のような獣医師を思い描いていたとしても、一向に構いません。私はすでに、迎合医療(≒サービス業的獣医療or・ビジネス主義的獣医療)なるものとは決別致しました。私は、目の前で病んで困っているわんちゃんの存在をないがしろにしてまで、飼い主さんだけに気に入られようとは全く考えておりません。ただ私は、時として、飼い主さんの敵(=よき忠告者)となり、その一方では、常に病気のワンコから信頼してもらえる味方となって、最善を尽くすのみなのです。

多くの飼い主さんには、私が理想論ばかりを口にしているように思われるかもしれません。しかし、飼い主さんの治してあげたいという純粋な気持ちにのみお応えすることこそが、迎合医療からの脱却に通じる道だと、私は確信しております。そして、社会全体がこの迎合医療からの脱却を目標に掲げることにより、安易に手術を受けさせる or 安易にステロイドを処方するといった風潮は、撲滅可能になるのではないでしょうか!

最後に、「“是非に”」とは決して申しませんが、純粋なお気持ちのある方には「“ようこそ”、オーシャン鍼灸院へ」、と申しあげたい。そこでの私は、あなたにとって極めて「不親切」な獣医師として、極めて「親切」な治療をわんちゃんへ施させていただきます。

ページの先頭へ