鍼灸治療について ~なぜ鍼灸なのか~

01治療の性質についての比較① - 治療一般

    手術 鍼灸 ステロイド薬
  料金 高い。 安くはない。 安い。
  手術ほどは高くないがステロイドほど激安ではない。当院の鍼治療費は5000円。 当院では1錠50円。
  治療についての情報量 多い。 少ない。 多い。
     
  治療に対する世間一般の支持者の数 多い。 非常に少ない。 多い。
     
  「科学的」であるか否か 科学的。 科学的でない。 科学的。
科学的に圧迫を解除する考えに基づく。 「科学的」であるとするには根拠が不十分。 炎症によるむくみをステロイドにて改善するという科学的理論に基づく。
  治療に対する「信頼」の拠り所      
・執刀医の実績
・日本、欧米で刊行された獣医学書
・獣医師法を管轄する役所
・鍼灸獣医の「信じなさい」の一言 ・獣医師法
・薬物へのお墨付きを与えた管轄の役所
・薬品メーカー
  治療内容を飼い主さんが理解することが容易か否か 容易。 容易でない。 容易。
  わからないという飼い主さんが90%くらい。  
  獣医師が飼い主さんにわかりやすい説明をできるか否か 説明できる。 説明できない。 説明できる。


   
  獣医師ごとの技術格差の有無 あり。 あり。 なし。
「名医」と呼ばれる獣医師がいる。 師伝なので、独学では良い鍼灸を実施することが難しい。 全ての獣医師は、製薬会社が製造しているステロイドのいずれかを選択して使用しているに過ぎない。
  治療のグレードを選べるか否か 選べない。 選べる。 ほぼ選べない。
例えば、より長い時間をかけて手術を受けても成功率が上がることはないという意味で。 飼い主さんが「良い治療」を希望されることで、自然とグレードが上がります。 ステロイドの量を増減するのみ

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02治療の性質についての比較② - リスク面

    手術 鍼灸 ステロイド薬
  「まがい物治療」に遭遇する可能性の有無 稀にあり。 稀にあり。 なし。
手術を受けた後で来院した動物の中に、正しい方法で手術が実施されていないケースを見受けるため。 よく吟味することが必要。 誰が与えても効果は同じ。
  副作用の有無 稀にあり。 全くなし。 あり。
全身麻酔の副作用や手術によって、筋肉や神経に損傷を受ける場合がある。   皆様周知の通り。
  完治する確率 50%(最大で) 100%(当院において)。
50%
「フィフティーフィフティー」という言葉がよく用いられる。治らなくても「50%」。 手術を一度もしていないことが条件。 最初から手術するわけにはいかないという理由で、「とりあえず」投与となることが多い。
  高齢の場合のリスクの有無 あり。 なし。 条件付でなし。
残りの寿命を考えると、それが少々のリスクであっても負わせるべきではない。   副作用さえ出なければ使用可能。
  再発の可能性の有無 あり。 ほぼなし。 頻繁にあり。

手術後に歩けるようになったとしても、再発する可能性が高い旨を執刀医から説明される。
再発した場合に手術したいと考えている飼い主さんは少ない。

あるいは、次はうまくいくかどうか不安を抱えている。

完治した後の再発は滅多にない。
再度、シンプルに鍼灸をほどこすのみで飼い主さんの不安は全くなし。浦野先生(※)で治療を受けて完治した方が四年後に再発したが、たった一週間の漢方の処方で治癒した。飼い主さんに不安はない。

※浦野先生…
五反田で開業されていた鍼灸治療の獣医師。現在閉院。

数年間の再発を繰り返し最後には ステロイドが効かなくなる。
神様にすがるようにして、ステロイドが効くように祈るほかない。
  治療前より悪化する可能性の有無 稀にあり。 なし。 あり。
全く歩けない状態で手術を受け、術後も歩けないままの場合は特に評価ができない。   ステロイド投与後に悪化している症例がある。
  治療失敗例の有無 なし。 なし(現時点での当院において)。 不明。
術後歩けていないままでも「手術自体は成功です」と概ね獣医の執刀医は言っている。    
  治療後に「歩けない」と判断された場合の対応 「不可抗力」とされる。 「歩けない」という判断自体がされない。 別の治療方法が提案される。
術後、一ヶ月くらいで変化がないときに判断。
手術は成功したが、手術するまでの時間が遅かった等の理由付けがなされる。
全症例において、必ず歩けるようになっている(当院において)。 治療開始後、一週間くらいで判断。
ステロイド「は」効かなかったという理由付けがなされる。
  治らなかったときの責任の所在 動物の病状もしくは飼い主さん。 鍼灸獣医師。 動物の病状。
タイムオーバー≒適切な時間内に手術を行なえなかったという事が全て 全責任を負う。 「薬が効くレベルのものではない」という理由付けがなされる。

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03具体的な治療内容について

    手術 鍼灸 ステロイド薬
  治療の手順      
1.レントゲン
2.ステロイドで様子見(時として省かれる)
3.詳細な画像診断
(CT、MRI、造影検査)
4.手術
1.検査なし(脈診など)
2.すぐに鍼
1.レントゲン
2.ステロイド
  病気が発症してからの治療開始の緊急性 緊急を要する。 緊急を要さない。
緊急を要する。
「48時間説」がうたわれている。 歩けなくなってから1年経過していても問題なし。
決して慌てないこと。
初期治療としてスタンダードに用いられる。
  発症後、完全麻痺のまま一年経過して治療開始した場合に完治できるか否か 完治不可能。 完治可能。
完治不可能。
手術しても意味がない(と伝えられる)。

時間は要するが、完治可能。 ステロイド投与はすでにうけているはず。
  完全に歩けなくなる前に治療を開始できるか否か 実質できない。
できる。
できる。
「48時間以内に治療を開始すべし」と言われているものの、まだ歩けているうちに手術を選択する獣医師はごく稀(特に大学病院において)。 微妙に歩様がおかしいレベルでも、治療を開始でき、完治させることが可能。  
  治療に立ち会えるか否か 立ち会えない。
立ち会える。 条件付で立ち会える。
  飼い主さんの目の前で実施。 入院治療でなければ立会い可能。
  即効性の有無 あり(と考えられている)。 非常にあり。 条件付きであり 。

 

1回目の治療後に効果が実感できる。 注射後1日以内に効果が出なければ、その後になって効果が出ることは極稀。
  圧迫部位を削る必要の有無 あり。 なし。 あり or なし。
    ステロイドの効果が出るか否かによる。
  入院の必要の有無。 あり。 なし。 稀にあり。
     
  リハビリの必要の有無 あり。 なし。 基本的になし。
    通常、「治った」と実感できた場合は行なっていない。
  画像診断の必要の有無 あり。 なし。 あり。
圧迫部位を特定する為、全身麻酔による造影 X線、CT、MRIのいずれかを実施。 当該疾患において検査を実施しなくても治療可能(当院にて)。 通常、単純レントゲン撮影を行う。
  血液検査等の有無 あり。 なし(当院において)。 あり。
     
  体重(ウェイト)コントロールの必要の有無
あり。 なし。 あり。
痩せさせる必要がある。 ほどよい筋力が必要なので、筋肉をつけさせることが重要。激ヤセは言語道断。
痩せさせる必要がある。
  運動制限の有無 あり。 なし。 大いにあり。
  運動しないと悪化させるので制限すべきでない。  
  階段昇降もしくは後肢のみで立たせることの是非 させてはいけない。 させてよい。 させてはいけない。
  後肢で立つことを防止しなくても、元気に歩かせることが可能。  

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04一般的な飼い主さんの心情について

    手術 鍼灸 ステロイド薬
  「この治療は信じられるだろうか…」
信じやすい 信じにくい 信じやすい
     
  「動物でなく、自分自身に試せるだろうか…」 試せない。 試せる。 試せない。
体にメスを入れることは考えたくない。
全身麻酔ならなおさら。
本当に完治するならば、是非受けてみたい。 副作用のことを考え、できれば避けたい。
  病気が治ったときの印象 「執刀医の先生は本当にすごい。先生の手は神の手だ。」 「最初は信じていなかった。
でも、今ならば信じられる。」
「ステロイドが効いてよかった。」
ただし、深夜や休診日に再発した場合の事を考えると不安が残る。 たった一回の鍼治療で治っても、治療が「簡単そうに」見えるため、ありがたみを感じない。(解説:このように難病を「簡単そうに」治すところが鍼灸の凄み) 一度の治療で治っても、副作用を考えるとやや複雑な気持ち。

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05各治療を受けると決めた飼い主さんに対する他分野の獣医師の反応

    手術 鍼灸 ステロイド薬
  「手術」を受けると決めた患者さんに対して(100%完治が前提)   「コメントのしようがありません。」(当院) 「期待しています。」
  「鍼治療」受けると決めた飼い主さんに対して(100%完治が前提) 「絶対にあり得ない治療です。削りましょう。」   「受け入れがたい治療法です。」
  「ステロイド治療」を受けると決めた飼い主さんに対して(100%完治が前提) 「効かないときは48時間以内に手術しなさい。」 「効くときは鍼治療を行う必要はありません。ただし、一日目で効果が出ないときは中止しましょう。」  

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