鍼灸治療について ~なぜ鍼灸なのか~

01すぐに「手術」ですか? ちょっと待ってください!

「手術さえすれば、全ての病気が治る。」 
そんな、「手術幻想」とも呼べるべきものが世の中にまかり通っています。

何も、全ての手術を否定しているわけではありません。
ただ、「あなたが、安易に手術という方法を選択してはいけない、安易に手術を依頼してはいけない」ケースが事実あるということを警告しておきたいのです。

例えば、俗に「椎間板ヘルニア」と呼ばれる病気において、手術では治らないケース、あるいは手術をしてはいけないケースに多々遭遇します。もし、そのようなケースにまで手術という方法を用いてしまうと、本来なら治るはずだった病気までもが治らなくなってしまう。

また、この時幸いにして手術という方法が採られなかった場合でも、「レーザー鍼」や「つぼ探知機」なる機器を用いて治療を施される場合があります。
はっきり申し上げますが、これら機器による鍼もどきの治療は、鍼灸とは似て非なるものであり、その治療効果は真の鍼灸治療のそれには、遠く及びません。例えるなら、コンビニのお寿司と有名な寿司職人によるお寿司とを比較するようなものです。
ただし、「鍼もどきの治療」は、重厚な趣(おもむ)きのある電子機器の「見栄えのよさ」や「最新」という触れ込みにより、治った気分だけは存分に与えてくれることでしょう。

私は、そのような悲劇が決してあってはならないと考えます。

外科手術でもなく、また「高価で」「最新の」「いかにも効きそうな」機器類でもない、ちっぽけで無骨な「針」でしか治らない病気というものが、世の中には 本当にたくさん存在します。

「確実に治るかどうか結果は二の次で、とにかく何でもいいから治療と名の付くものなら、受けさせよう(例:ご自身の病気では安易に飲んだりしないステロイドであっても、ワンちゃんなら飲ませられる 等」そんな、あなたの思い込みや拙速な行為を、まずは頭から捨て去ってください。
そして、突然重病になったわんちゃん・ねこちゃんのために、最も適した治療方法は何なのか、もう一度考えてみてください。あなたのわんちゃん・ねこちゃんにとっての最良で唯一の治療法が、鍼灸のほかに残されていないという、飼い主さんが思ってもみないような現実に直面されることは、実に少なくないのです。

とりあえず手術をしてみて、ダメだったらその次に鍼治療を…
言語道断です。絶好のチャンスは人生で2度は訪れません。鍼灸の場合も同様、旬なタイミングを逃すと、早く治せる「その次」は与えられません。手術がダメだったから鍼を受けさせる。まるで、道端で見つけた折角のダイヤモンドをそのままにして、3日後に拾いに行くようなものです。ダイヤモンドであればいつかまたお店で買うこともできますが、あなたの仔の足はそういう訳には行かないのです。
下の表は、「手術を受けずに鍼治療を開始した場合」と 「一度手術を受けてから鍼治療を開始した場合」の、完治までに要する 鍼 の治療回数の比較です。そう、手術さえなければ一気に治るはずだったのに、手術を受けさせたがために、治るまでに要する治療回数が格段に増えてしまうのです。たとえ 必ず治るとわかっていても、あなたは何十回、何百回と鍼治療に連れてくることができますか?

わんちゃんは治療方法を選ばません。全て保護者である飼い主さんに委ねられています。治療回数を減らして、早くかつ楽に治るかどうかは、「安易にメスを入れない」というあなた自身の固い信念にかかっているのです。

完治までに要する鍼治療の回数と症例数の関係

完治までに要する鍼治療の回数と症例数の関係

もう一度繰り返させていただきますが、
まずは飼い主さんの頭から「何でもいいから…」「とりあえず手術…」を完全に捨て去ってください。わんちゃん・ねこちゃんの治療は、そこから始まるのです。

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